(公社)日本ボディビル・フィットネス連盟 JBBF (公社)日本ボディビル・フィットネス連盟 JBBF

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   2007年11月

    2007世界男子ボディビル選手権大会

       日本選手団への感想


                社団法人日本ボディビル連盟
                   会 長  玉  利    齊

 2007年度第61回世界男子ボディビル選手権大会は韓国の済州島(JEJU)で10月25日から29日に開催された。
 監督は、朝生照雄(JBBF選手強化委員長)、コーチは粟井直樹(JBBF理事)・後藤剛(JBBF理事)、選手は70kg級に須江正尋・合戸孝二、75kg級に谷野義弘、80kg級に今中直博の4選手が参加した。
 今回は、世界選手権派遣の方針である少数精鋭主義としては最大の4名の選手を派遣したが、結果は全員第一次予選を突破して第二次予選突破の15名以内に進出できたことは日本のボディビルの底上げを示すものとして将来の展望が明るく開けた感を深くした。
 以下、世界の強豪選手と闘った各クラスの日本選手に対する感想を述べてみたい。
 まず、70kg級で決勝に進出して堂々5位を決めた須江選手は、彼の長所であるVシェイプの魅力を充分に発揮出来たことが勝利につながったと見られるが、従来は上体に比して如何にも下半身の筋量不足が目立ったのが、克服とは云えないが相当にレベルアップして全体のプロポーションに調和と安定感を増したことが原因と云える。 決勝では彼の最も得意なフリーポーズで点を稼いだと見られるがフリーポーズだけを見たならば4位に入ってもおかしくなかった。 決勝のフリーポーズは、ポーズからポーズに移る流れのリズム感と間の取り方、ポーズを決めた時の迫力は舞踊的な芸術性を感じさせるものだった。 今ひとつ上体の厚みと下半身の筋量が増せば独特の動きのあるポージングと相まって世界でも一流の選手に成長することは確実視してよい。
 同じ70kg級7位で惜しくも6位以上の決勝進出を逸した合戸選手は、敗れたとは云え日本選手共通のウイークポイントと云ってもよい上体の筋量不足を完全に克服して、肩・腕・胸・僧帽等の力強い発達は並みいる世界の強豪選手達と並んでも圧倒的に目立つ存在だった。
 しかし、日本ではずば抜けた筋肉の逞しさだけで通用しても世界ではそれに加えてプロポーションとポージングの技術が重視されてるが現実である。 プロポーションについては広背筋の拡がりの不足も以前に比べれば格段の進歩を見せているが今後の研究と努力を期待したい。 ポージングの巧拙はフリーポーズで真価が問われるのは当然だが、決勝に進出する為の規定ポーズでも上手と下手は歴然と明らかであるから全員で並んだ時の自然体とともに正面と背面の表現力に一層意を注いで欲しい。
 75kg級で8位を獲得した谷野選手は、一口に云えば量より質、大きさより美しさで勝負する日本的なボディビルを代表する選手と云えるだろう。 とは云っても、ボディビル競技は鍛え上げたボディを通して人間の逞しさと美しさを謳い上げるスポーツなのだから、一定の筋量は必要不可欠だ。 しかし、谷野選手は筋肉の量感より質感を強くアッピールするタイプと云ってよい。 彼の競技時に絞り上げた体脂肪3%と云う筋肉の密度は最近の研究と努力の結果とみに進歩著しいポージングによって芸術的な感動を与える域に近づいていると云ってよい。
 80kg級の今中選手は、一次予選を突破して二次予選15位に入ったことは80kg級と云う西欧では参加選手が最も多いクラスとしては立派なものだった。 ちなみに谷野選手でさえ今年のアジア選手権で一クラス上の80kg級に挑戦した結果、予選落ちしている厳しさだ。 しかし、今中選手が更に上位進出する為には一工夫が必要と思われる。 今中選手の筋肉のバルクは日本では超一流と云ってよいが、世界選手権出場選手では当たり前のレベルで取り立てて大きいものではない。 しかし、一次予選を2006年・2007年と二年連続突破する実力を持っているのだから審査員の目を引き付ける個性をどの様にして磨き表現するかが今後の課題と云えるだろう。
 以上が私が観戦しての感想だが世界レベルが益々進歩している中で日本選手は姿勢・態度・気迫で一歩もひけをとらず正々堂々と闘って獲ち得た成績は立派と云う他ない。
 昨年度の80kg級の世界王者カタールのカマル選手が今年のアジア選手権でもチャンピオンになったが、後からドーピングが発覚し永久追放になり、組織ぐるみの違反行為と云うことでカタールのボディビル連盟も一年半の出場停止に加えて、10万ドルの罰金を科せられたことは、各国の連盟の役員・選手に大きな衝撃を与えた。
 この様な中で、あくまでもスポーツとしてのルールを守り、信義と礼節のあるスポーツとしてのボディビルを貫く日本選手を我々は誇りに思うとともに心から讃えたい。